厨ポケ(秘伝要員として)

アニメ、エロゲ、ポケモン ⇐不適合者要素

2020年にプレイしたノベルゲーランキング

初めに

 主に今まで、①ポケモン、②アニメ、③ノベルゲーをしていて、それらを軸に生活が組まれていたわけです。しかし、①ポケモンのインターネット対戦は、溜めるストレスの方が発散されるストレスよりも多く、また、何より勝てなくなったので、かける時間を減らしていくことにしました。②アニメはだんだんと観る本数が少なくなり、今年は20クール分も観てないかもしれないです。③ノベルゲーについては、今年はそこそこ往年の名作に触れて楽しめたので、2020年に行ったノベルゲーランキングの記事を書くことにしました(ポケモンで結果を残せなかったので)。内容に関しての重要なネタバレをしないように気を付けますが、多少のネタバレはあるかもしれません。

 

ランキングのつけ方

 プレイしてて感じた”昂り”を基準に並べています。ストーリー、キャラ、BGM、グラフィックをそれぞれ10点満点(☆~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆)で適当に評価していますが、それらの合計の順位とランキングは比例しません。比較的評判のいい作品を買ってるので、順位が低くてもつまらないわけではないものも多いです。プレイを始めてから全ルート終わるまでにかかった期間を「プレイ期間」として挙げていますが、一日のプレイ時間が一定ではなく、やる気にもムラがあるので参考までに。

 

(以下常体 ← ポケモンプレイヤーの残滓)

 

 

 

第25位 ラズベリーキューブ

f:id:mitchell_wspk:20201123224140p:plain

madosoft.net

 

ストーリー:☆☆

キャラ:☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆

プレイ期間:2週間

 

 ラブコメ作品。セールで半額になっていたので買った。主人公とヒロインが付き合ってからの描写がメインでなされている。そんなに長い作品ではないクセに、体感時間が異様に長かった。今回こうしてランキングにしている中で一番長く感じた。「萌えゲーアワード2018」で準大賞取ったらしいけど、受賞はどういう基準なのか教えてくれ。受賞の講評に「ストレスを全く感じさせないシステムと演出」という風にあったけど、演出に関してはストレスめちゃくちゃ抱えた。
 最近の作品だけあって、画質等の環境やシステム周りは充実していたと思う。わざわざコンフィング画面開かなくてもマスターボリュームの設定ができるのはよかった。ただ、このゲーム、「マップ選択制」を採っているくせに、選択回数3回の内で、選択しなかったキャラは場所が移動しないし、ルートに入るのは1人に絞る必要がある(途中まで同じとかはない)ので、実質意味をなしていない。選ばなかったキャラは場所が移動しないのでバリエーションもない。
 ストーリは、展開が好みでない。どの媒体でも恋愛をテーマにした作品は、互いの精神削りあって恋愛感情を認めるまでの過程が面白いのであって、くっついてからの話をメインに持ってこられてもね、と個人的には感じる。メインとは違うとしても、全体的に恋愛に至るまでの描写が雑すぎる。明確な日数はわからないけれど、ヒロインはほぼ、主人公と関わり始めてそんなに時間がたっている描写がない(「桜庭・ヴィクトリア・瑠莉」ルートのみ例外)し、当然、それまでの過程もほとんど無いようなもの。感慨がない。
 キャラについては、キャラデザに関してはいいと思うものもあるが、立ち絵が安定しない感じがする。ただ、差分はたくさんあり、その差分についてひとつづつ鑑賞できる機能がついているのは良かったと思う。「桜庭・ヴィクトリア・瑠莉」と「海道 美琴」の立ち絵については、出てくるたびに吹き出していた。私服が娼婦かと思うような服装をしていて笑ってしまう。キャラ付けも取ってつけたようで、例えば、「狩野 みなと」は「農婦キャラ」をめちゃくちゃ推してくるくせに短パンで畑仕事をしていたり、水田の雑草取りを水着で行ったりと、舐めてるとしか思えない。悪役の描き方が下手で、理不尽な不快感しか与えないサブキャラが多い。また、「桜庭・ヴィクトリア・瑠莉」に関しては、会話が成立しておらず、主人公に対して悪意のあるとしか思えない突飛な行動をたびたびするので、ヒロインであるのに不快である。悪役として描かれているキャラの行動原理がほとんど個人的な感情に起因するもの、またはそう見える描き方がされているので、それで理不尽な意見をぶつけてくるから嫌悪感以外湧かない。サブキャラも、家賃踏み倒しながら初対面の人のもの勝手に食ったり、いきなり暴力を振るってきたりなど、おおよそ通常人であれば好印象は抱けないのではないか。主人公のセリフ回しも粋がりが過ぎる。個別ルートでは、(相対的に)マシになっているが、共通ルートでの主人公のセリフ回しは質の悪いなろう小説を読んでいるようで、これだけでリタイアする層が必ずいるだろうと感じる。
 共通ルートは前座で、個別ルートがメインとなるのだが、個別ではそのルートのヒロイン以外のヒロインはほとんど出てこない。コンセプト上、そうすることでヒロイン一人ひとりへの没入感を高めているのであろう。個別ルートもそれぞれ良いとは言えない。例えば、「狩野 みなと」ルートでは、ヒロインの祖母(危篤のちに死亡)の家に主人公が行く展開があるが、この祖母の出番はこれっきりで、死亡したことにヒロインが悲しむ様子どころか、それっきり話題にすらあがらないのにはたまげた。
 少なくともここで述べた3倍くらいは悪いところあるのだが、書ききれないのでこれくらいに。

 

 

第24位 彼女と俺と恋人と。

f:id:mitchell_wspk:20201102022555p:plain

pulltop-latte.jp

 

ストーリー:☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 略称「ととと」らしい。「ととと」で検索しても飯屋の情報しか出てこないけど。作品名の通り、「彼女と俺」に加えて、「恋人」たる3人目を獲得するゲーム(?)。固定である「彼女」枠は画像中央の黒髪ロング。そのほかに「恋人」枠の3人目を誰にするのかでルート分岐。「彼女」の妹やら、幼馴染やら、寮母やらと各ヒロインに「属性」が振り分けられている。エロシーンに趣向が凝らされていて、各ヒロインにつき5~6回程度と回数も多く、また、ほとんどのシーンが3pだった。半抜きゲー的な感じ。ストーリーはほとんどない。エロゲにエロシーンは求めていない自分の需要にあった作品ではなく、キャラは変わってもシチュエーションとかはだいたい同じで飽きるってことでこの順位。キャラデザは良。

 

 

第23位 ココロ@ファンクション!

www.pulltop.com

 

ストーリー:☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1週間

 

 近未来都市を舞台に、学生生活を送っている主人公たちの携帯端末に突如インストールされたアプリの謎を解き明かしていくというストーリー。「彼女と俺と恋人と。」と同じようにエロシーンに重点が置かれていて、ほぼすべてのシーンが野外で、各ヒロイン1人当たり5回くらいある。しかし、こちらは一応メインとなる話は別に存在していて、まあまあ話としてまとまっている。ただ、そんなに面白くはない。絵は綺麗。実妹ルートで謎が解けるのだけど、想像を絶するようなものではない。

 

 

第22位 見上げてごらん、夜空の星を

f:id:mitchell_wspk:20201102174440p:plain

www.pulltop.com

 

ストーリー:☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:8日

 

 三角関係+天文部を舞台にした部活もの。名前が長くてこれといった略称もないから検索しにくい。音声が左右振り分けで流れて、耳元で囁くような描写のときには本当に耳元で囁いているように聞こえるし、背後から声かけられてる場面では後ろから声が聞こえて、「ほえ~」って感心してた。
 全国を天文で動かそうという部活の心意気はスケールの大きすぎる話のように思えて、部活ものとしてあまり没入できなかった。ヒロイン2人+主人公(3人小学生の頃からの友達)という三角関係では、ヒロイン2人が互いに遠慮しあって主人公を相手に譲り合おうとするのだけれど、その描写が余分に長い感じがした。また、「小学生の頃の恋愛感情」に感情移入できないと心理描写に没入できない気がして、それもネックとなったポイント。過去と現在の場面転換が頻繁にあって、過去の描写も冗長な感じがした。あんまりハマれなかった作品。話に起伏がない。
 星座早見表みたいな感じで過去の場面か現在の場面かを表示しているのは洒落てる。一面の星座を描いたグラフィックは秀逸で、とても綺麗に描かれていた。冬の寒そうな雰囲気や田舎の雰囲気なんかも背景からひしひしと伝わってきて、冬にプレイするのに良かった(プレイしたのは11月)。OP「Winter Diamond」が、プレイ中の挿入歌で入るときは1番、OPでは2番が流れるのが”アツい”。背景画像で「高校受験」をしようとするキャラの部屋に「理系数学」っていうテキストがあるのはどうなんだ?って思った。

 

 

----------人に薦めてもいいかなと感じたライン----------

 

 

第21位 向日葵の教会と長い夏休み

f:id:mitchell_wspk:20201102031111p:plain

www.makura-soft.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 買ったときに起動できなくて、3回目のインストールでやっと起動できるようになった。自分がかつて育った教会が取り壊されると聞き、8年ぶりに帰ってきた主人公が、再会した幼馴染みの少女達や、新たに出会った雛桜などと共に、懐かしい教会での最後の夏を過ごす、というストーリー。
 BGM、特にピアノ曲は全部良かった。夏の終わりの切なさとか、そういったものを感じさせる。OP曲「ヒマワリの教会」の”夏休の夕暮れ”を思い起こさせる感じも良い。
 ルートに関しては、夏咲  詠→野々原 雛桜の流れはよかったと思う。特に「夏咲 詠」ルートは感動した。他のルートは、時間がなければ別にやらなくてもいいくらい。おまけ程度。ただ、その中にも一応伏線はある。だいたいのルートが、事件を片付け終わってED後のエピローグで、思い出したかのように立て続けにエロシーンプレイさせられる仕様なのは何とかしてほしいところであった。ところどころに文学作品の引用がちりばめられていて、”枕作品”って感じがした。
 この作品に関しては、効果的な引用は半分もなかった気がする。「引用でしゃべる小学生」とか、衒学的な感じがして好きじゃない(読書家等の設定があるならまだ許せるが、そうじゃないキャラも引用で話してくる)。まだ読んでいない文学作品でマウント取られてしまったね。オー・ヘンリー、ゴーティエ、ヘッセ、小泉八雲、『雨月物語』なんかが出てくる。癪なのでこれから全部読む。

 

 

第20位 リアル妹がいる大泉くんのばあい

f:id:mitchell_wspk:20201124134529p:plain

www.h-comb.biz

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 タイトルの通り、妹ゲー。妹モノの在り方を考えさせる作品のひとつであると思う。正直、タイトルからあまり期待していなかったのだが、意外とよくできていた作品だと思う。
 ヒロインは3人いるのだが、「エロゲ内の妹」である「麻衣」と「リアル妹」の「栞」の物語を中心として、その2人が対比が中心に描かれていく。エロゲの中の妹で、”現実”のものではない「麻衣」による、本当の兄妹の距離感への羨望と、「栞」による、現実の妹であるが故に、自分の兄(主人公)への気持ちをセーブしなくてはならず、遠慮なく自身の兄との距離感を縮めていく「麻衣」への想いの内面の対比が上手く描かれていて、そこから主人公が導き出す結論が、非常にテーマ性に富んでいて、良かったと思う(ネタばれ意識で細かいところまで言わない)。また、兄妹の関係だけでなく、家族の関係についても言及するような作品であったといえる。
 OPは別に好みではなく、BGMもそんなに好きではなかった。ただ、「栞」ルートのED(grand final)後のエピローグからタイトル画面に戻る演出があるのだが、その演出が本当に良かった。

 

 

第19位 ATRI -My Dear Moments- (非18禁)

f:id:mitchell_wspk:20201102190330p:plain

atri-mdm.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:2日

 

 非18禁。スタッフ見て「これは買いだな。」って思ってたら2000円で驚いた。安価なので短く、ルートは1つしかないけれど、良くまとまっていたと思う。キャラデザ、背景、声優の演技、どれも良く、値段を感じさせない。倍額払ってもいいくらい。BGMも凪や海辺の雰囲気を感じさせる。日・英・中(簡・繁)の多言語対応にも驚いた。ただ、CGの枚数は少なめ。ストーリーは、「アンドロイドの感情」をテーマにした、よくある作品。特に文句のある部分もなく、「王道」という感じ。ただ、そんなに深く世界観が掘り下げられるわけではない。悪く言えば使い古された設定。ヒロインの声優の演技がキャラとマッチしていて、感情移入がしやすい。正直、キャラゲーであることは否めない。ヒロインが好きなら高評価できる。僕は好き。

 

 

第18位 ユメミルクスリ

f:id:mitchell_wspk:20201102105618p:plain

www.will-japan.co.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 主人公・ヒロインそれぞれが重い背景を持っていて、関りによって、互いの問題を解決していくストーリー。タイトルとキービジュアルから感じていたよりは、そんなにサイケな内容ではなく、意外と王道的な純愛系ストーリーだった。各ルート「何気ない日常」のありがたみというものが描かれていたように思う。それぞれの重たい背景を感じさせない日常パートの掛け合いやBGMの雰囲気と、問題が顕在化したときのシーンの落差で、より一層深刻な雰囲気にのめりこませられる。個別が3つあって、「ねこ子」ルートは面白かった。泣いた。それ以外はあまり刺さらなかった。普通かなという感じ。

 

 

第17位 さよならを教えて〜comment te dire adieu〜

f:id:mitchell_wspk:20201102181155p:plain

craftwork.product.co.jp

 

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 非常に有名な作品。内容についてすでにあらかた知っていたので驚きは少なかったけれど、前知識なしでプレイしたら衝撃を受けていたと思う。教育実習生をする主人公だが、だんだんと見える世界がおかしくなっていき、その真相を知るストーリー。「巣鴨 睦月」ルートを最後に持ってくるべきだったのだろうけれど、一番最初に攻略してしまったので、強制的に「巣鴨 睦月」ルートは最後にしかできないようにしてほしかった。BGMは作風に合っていて、陰鬱とした雰囲気を醸し出している。グラフィックもすべてが西日を浴びたような朱色がかった絵になっていて、寂寞な雰囲気の中に映る狂気をよく表していると思う。古いゲームなのであまり機能は充実していなかった。特にセーブ画面は分かりづらいが、仕方がない。

 

 

第16位 黄昏のシンセミア

f:id:mitchell_wspk:20201102201326p:plain

www.applique-soft.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆

プレイ期間:3週間

 

 「萌えゲーアワード」で「素晴らしき日々 ~不連続存在~」を押さえて1位を獲得していたので、「目玉が飛び出るほど面白いに違いない。」と踏んで買ったが、期待しすぎた。そんなにつまらないというわけではない。「萌えゲーアワード」とかいう賞を目安にしていた自分が悪い。田舎の伝承とそこで起こる怪奇をテーマに、SF要素を加えた近親相姦もの(実妹ENDが正規ルートなので)。実妹近親相姦モノでしっかりと描き切っている作品は意外と珍しいのではないか。
 田舎の伝承がテーマだといったが、実妹(=正規ルート)では、妹の、兄(主人公)に対する恋慕がどれほどかという描写がほとんどで、伝承についてはそんなに描かれていない。なんじゃそら。他のヒロインのルートにそれらしい記述が散りばめられている。攻略可能キャラの1/3が小学生(18歳以上)だったけど、伝承モノだし、”幼女の神聖性”みたいなことが考えられているのかね。田舎っぽい雰囲気は出てた。
 「フローチャートシステム」は、どのくらいゲームが進行したのか、CGの取り忘れはないか、などの確認がしやすく、選択肢の分岐も分かりやすくて良かった。

 

 

第15位 アメイジング・グレイス ―What color is your attribute?―

f:id:mitchell_wspk:20201102182932p:plain

cabbage-soft.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:2週間

 

 ”世界”が滅ぶのをループして止めようとする作品。こういう絵のタッチの作品に内容の面白さは期待していなかったけれど、思ったよりはシナリオが練られていたと感じる。
 ”ループもの”という粗が出やすいジャンルの作品で、もちろん粗はある。しかし、作品のテイストとしては、SFではなくファンタジーなので、そこをチクチクと指摘するのは無粋に感じる。ただ、それは、”ループもの”であることから生じるシナリオについての整合性の話で、主人公の感情描写はもっと激しく行ってほしかった。繰り返しのできる回数の限られていて、それをわかっている主人公が、”世界”の崩壊を止めるのに失敗する度に感じなければならない「焦燥感」に欠けるところがある。”世界”の崩壊を目の当たりにしても淡々としており、「またダメだった。どうしてだ。」という以上のリアクションがあまりなく、もう少し焦りを見せてほしかった。
 伏線はそれなりに回収されていて、作中の”世界”の雰囲気も良かった。世界観の構築もよくできていたと思う。ただ、”世界の謎”に関しては、勘のいい人なら、その内容に気づいてしまうかもしれない。エロシーンのシチュエーションは豊富で、趣向が凝らされていたと思う。ネタバレになるから言えない部分もあるけど、総じて感情の描写が薄くて、もったいないという印象。OP含めBGMは微妙な感じがした。

 

 

第14位 景の海のアぺイリア

f:id:mitchell_wspk:20201119101657p:plain

www.silkysplus.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:5日

 

 VRMMOを舞台にした作品。物語を進めていくうちに印象が変わった。最初は「SAOに下ネタを加えた感じ」って思っていたけど、「シュタゲじゃん」ってなった後に「lainじゃん」ってなった。まあ「lain」とも違うけれど。下ネタや序盤の会話のテンポ感についていけなくて、「好みじゃないな~」って言いながら進めてたし、ライターの倫理観を疑っていたけれど、話が進むにつれて引き込まれて、続きが気になるようになった。下ネタも笑えるようになった。量子力学の話が作中で出てきたときは非常に先行きが不安になったが、ただ話題に出しただけで終わるようなことがなく、ほっとした。
 非常に大掛かりな謎解きをしていくことになるゲームで、伏線も散りばめられており、テキストをしっかり読む必要がある。エロシーンにもちょっと伏線あるのやめてくれ。推理物としても楽しめた。主人公たちの展開する理論が複雑になるときもあるが、そのようなときには図が画面に表示されて、視覚的に情報を整理してくれているのでわかりやすい。「VRMMOがどうしてデスゲームに変貌したのか(SAOっぽい)」を描いていく中で、真相にだんだん迫ってくる段階の緊迫感は良く演出されていた。一方、恋愛ものとして見る場合は、それにいたるまでの過程、主に、ヒロイン側の感情の描写があまりなされていなく、あまりいいとは言えないと感じる。ラストの締め方はあまり気に入らない。大団円のような雰囲気を醸し出しているが、容易に想像される主人公らのこれからの生活に関わる問題点には目をつむっている。
 絵は綺麗で、背景やCGは良く描かれていたと思う。近未来的な雰囲気なんかは非常にうまく描けていた。CGの枚数も多く、背景の種類も豊富で良かった。
 キャラに関しては、キャラデザも立ち絵も悪くないと思う。ただ、個人的にはあまり好きになれなかった。キャラの性格付けや演技は普通かなといった印象。ただ、「一 久遠」というキャラに関しては、ふわふわとした声と、妙な語尾による安易なキャラ付けが気に入らなかった。

 

 

第13位 世界で一番NGな恋

f:id:mitchell_wspk:20201102193655p:plain

www.hermit-game.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 アパートとその住人に焦点をあてたラブコメ作品。登場人物全員の、人としてのダメな部分と、人情の温かさがよく描かれていたと感じた。キャラ同士の掛け合いのテンポ感が良く、プレイしていて心地がいい。ヒロインの「美都子」の母親のキャラだけが不愉快だった。BGMの種類は少なめ。シナリオに関して文句をつけるところはほとんど見当たらないのだけれど、特に”コレがいい”とほめられる部分も少ないのでこの順位。普通に面白いと思う。主人公も不快感がない。

 

 

第12位 沙耶の唄

f:id:mitchell_wspk:20201102204626p:plain

www.nitroplus.co.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1週間

 

 狂気と禁忌について踏み込む主人公やその周りの人物の姿を描いた作品(のふりをした純愛系作品)。交通事故に遭った主人公には、世界が奇怪に見えるようになり、唯一人間の形をして見える沙耶に惹かれ、一緒に暮らすようになり、やがて狂気に溺れていく、といった内容。あらすじを一言でまとめるのが難しい。
 プレイ時間も短く、安いためサクッとプレイできて、中身も充実しているといえる。主人公の見る世界の描写は、グロテスクで緻密に描かれている。狂っていく登場人物の家や、黒幕と思われる人物の研究室に踏み込む登場人物の息遣いなども臨場感を高めてくれる。視覚効果が存分に発揮されていて、「ノベルゲー」の性質が活かされている。

 

 

第11位 G線上の魔王

http://www.akabeesoft2.com/products/g_sen/

(↑リンク埋め込みできなかった)

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1か月

 

 ミステリ+純愛ゲー。ミステリー要素を含みながら、話が進むごとに主人公やその周辺の人間関係、人物の背景が明かされていき、最後につながる。
 BGMはクラシックのアレンジでかっこいい。ストーリーは、メインルートゲー。メインルート以外のヒロインのルートはつまらなく、しかも強制的に全部プレイさせられるが、最終章の感動のための焦らしだと思えば、まぁ。ミステリー要素はおまけ程度で、主人公たちの追い求める”魔王”の正体についても途中でなんとなく分かる。
 つまらないルート明けのメインルート(最終章)の感動はひとしお。最終章になって怒涛に畳みかけてくるアツい展開に感動。ヒロイン・主人公、どちらに感情移入しても泣ける。泣いた。この章だけで、このゲームは名声ゲットしてる。キャッチコピーの「命をかけた、純愛」、秀逸。一番最後の締め方はあまり好きではないけれど(諸説)。

 

 

第10位 Summer Pockets REFLECTION BLUE (非18禁)

f:id:mitchell_wspk:20201104152840p:plain

key.visualarts.gr.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:2か月

 

 夏休み、主人公が遺品整理のために訪れた島で、出会った新しい仲間との島での生活を描いたストーリー。夏の爽やかさが良く表れていて、夏が終わる前ににプレイして良かったと思う。個別ルートは各ルート素晴らしいものが多く、ほとんどのルートで泣いた。特に紬ルートは、ラストに流れるBGMがおかしいくらいに機能していて、素晴らしい。逆らい難い運命的な別れというものが個別・全体を通して描かれている。
 全員が全員善人で、悪意のない空間であるため、自分に責めのない事象によって構築した関係を断たなければならないというのはどのルートのキャラにも感情移入してしまうので、掘り下げが浅いとか、設定が生かしきれていないだとか、そういったことはいくらでも言えるが、どうでもよくなる。今までのKey作品の中でも使い古された設定・展開を多様している感じはあるが。共通ルートは、個別ルートに比べればあっけなく感慨も薄いように感じるが、まとまってはいたんじゃないかと思う。非常にKeyっぽいラストであったと思う。「CLANNAD」や「Kanon」なんかと類似した感じ。それがいいかは置いといて。個人的には「久島 鴎」ルートは消化不良感。
 キャラデザもみんないいとは思うのだが、「空門 蒼」だけ別ゲー感がある。あと、内容には関係はないけどKeyは毎回意味の分からないスリーサイズと体重設定をやめた方がいいと思う。

 

 

第9位 車輪の国、向日葵の少女

f:id:mitchell_wspk:20201103235653p:plain

www.akabeesoft2.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3週間

 

 日本と似た架空の国を舞台として、「社会」や「人間」をテーマに描かれた作品。ライターが同じ「G線上の魔王」と比べると、一番盛り上がったところは「G線上の魔王」の方が昂ったが、平均的な面白さはこちらの方が高かったように思う。
 「特別高等人」「義務」といった独特の世界観の設定は面白かった。個別ルートもそれなりに面白く観れると思う。敵役の強敵感がとてもよく醸し出されていて、魅力的である。最終章は、強敵との対戦や、主人公の、過去との訣別など描かれて、激アツ。感慨が溢れ出して泣く。泣いた。
 キャラ付けに関する叙述トリックみたいなのは、何となく想像がついていてしまった。また、「遅刻者が上官に射殺される」という描写がなされて、そういう世界観であるのに、主人公がその上官に平気で口答えするというのは少し引っかかった(難癖)。まぁ、その描写は、上官の”恐ろしさ”を、序盤で読み手に印象付けるために行われているだけのものであるとは思うが。

 

 

第8位 CROSS†CHANNEL

f:id:mitchell_wspk:20201104133033p:plain

www.crosschannel-game.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:2か月

 

 DVD-Romが、なぜか、改訂版と初稿版の2枚同封されていて、どちらをすればいいのかよくわからなかったので初稿版をプレイ。学園ループもの。違和感を覚えながらも進めていくと、徐々に明かされていく世界観や各々のキャラクターと主人公の関係性、そこから関係を再構築しようとする主人公の努力と葛藤に魅せられる。
 他者との関りが失われはじめた昨今の社会状況を象徴するテーマ性を感じさせる。全部のストーリーが完了した後の読後感も良かった。「死ぬまでは生きてください」ってセリフは感慨深い。序盤のギャグや語り口などの雰囲気は古臭い感じはある。主人公はすぐにパンツ見たがるし。初稿版で明かされていなかった要素も、改訂版では補完されているらしい。見てないけど。

 

 

第7位 遥かに仰ぎ、麗しの

f:id:mitchell_wspk:20201104135306p:plain

www.pulltop.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1週間

 

 学園モノ。主人公は”超お嬢様学校”に赴任した新人教師で、ヒロインたちと出会い、彼女らの問題と向き合っていく。このゲームは「分校ルート」と「本校ルート」(どちらの寮に住むのかの選択で変わる)でライターが違う。そのため、主人公のキャラもだいぶ異なるし、話の質も違う。本校系の方が面白い。分校系は、まぁ......。キャラの髪の色は原色をベタっと塗った感じだが、細い線で描かれるタッチは好み。選択ボタンをクリックしたときに頁を捲るような効果音がしておしゃれ。キービジュアルの2人、どちらも人気投票1位取れてないらしい。「萌えゲーアワード」のサイトをみると、金賞取っているのにタイトルが誤字表記されている。
 初めに「風祭 みやび」ルート(本校系)をプレイしたところ”ガチはまり”してしまった。主人公が本当にアツい男で不快感を全く感じさせない。自分自身に持っている権力と、それに見合わない自分の実力のギャップに葛藤し、その結果、周りに尊大な態度をとってしまう「風祭 みやび」が、主人公との関わりの中で、徐々に心を開いていく描写に悶絶。こういう展開好き(小並み)。「本校ルート」は総じてはずれはなく、全部面白く読むことができた。エロシーンが少ないのもGood(各キャラ1回)。「風祭 みやび」ルートは本当に”本質”で、純愛系作品に求めるものをすべて包括していたと感じる。
 一方、「分校ルート」は、必要のないエロシーンが多すぎる。一人当たり10回あるキャラもあるし、そのくせCGは使いまわしだから、毎回代わり映えしない(拷問か?)。主人公も、本校系に比べて爽快感に欠くところもあるが、それは許容できる。こちらのルートの問題は、ヒロインの問題が、別に主人公が関わっていなくても解決できること。「仁礼 栖香」ルートと「相沢 美綺」ルートは裏表の関係で、互いに関連しているのだが、どちらのルートを選んでも、選ばなかったヒロインの問題も普通に解決している描写がある。「じゃあ、個別ルートって必要あったの?」てなる。

 

 

第6位 サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-

f:id:mitchell_wspk:20201104143323p:plain

www.makura-soft.com

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1か月

 

 「櫻の森の上を舞う」って副題、どういう意味があるのかまだ理解していない。絵画をテーマにした作品。伏線が序盤から張られ、気持ちよく回収されていたと思う。最初の共通ルートでの幸せと、最終章での孤独の対比、そこからの一瞬の盛り上がりが最高。trueのルートが、ヒロインの誰とも付き合わないというのは珍しいのではないか。孤独にかつて過ごした校舎で教員をしているという展開は、ラストの感慨を本当に深めてくれる。才能を持つ者・持たざる者の対比も後半になるにつれて象徴的になされていて、「持たざる者」の矜持や、心意気なんかはとてもよく描写されていたのではないかと思う。グラフィックは綺麗で、BGMもいい。個別ルートもだいたい良かったと思うが、「御桜 稟」というキャラは、個別ルートと共通ルートでキャラが違いすぎないかという印象。このキャラの個別、いらないまであるのではないか(つまらなかったわけではない)。
 突然思い出したかのようなエロシーンの連続と、文学作品の引用による衒学的な様相は「枕作品」の特徴なのか。この作品にもよく見受けられた。まぁ、「向日葵の教会と長い夏休み」よりはテーマ性があって唐突でない引用がされていたと思うが、しかし、それにしても、小中学生(読書家等の設定のない)が、「ZYPRESSEN」の発音について、宮沢賢治の引用をしながら論を交わすのは、さすがに一線超えてる。OPの歌詞にもあるし、「藝術としての詩」を意識したかったのも分かるが、ディキンソンの詩を聞いただけでわかる奴も多すぎてわざとらしい印象を受ける。日本人そんなに知らんだろ、ディキンソン。主人公は「絵画に対しての英才教育を受けた」という設定だから、絵画についての知識や西洋史、哲学とかへの造詣が深いのならわかるけど、日本近代文学までカバーするの?って感じ。主人公以外も、登場人物は高校生(18歳以上)のくせして、文学の素養が高すぎる。全員に対して引用での会話が成立している。自分が、引用されてるその作品を知らないことに対してマウント取られている感じがしたので、このゲームに出てきた作品を片っ端から読んだ。
 この作品の一面として、「素晴らしき日々~不連続存在~」において描かれた哲学的な立場を乗り越た世界を描くというものがあり、その上で、藝術としての「絵画」がテーマに選ばれている(OP曲「櫻の詩」の歌詞等の部分が一番露骨なのでは)。「素晴らしき日々」おいて『論理哲学論考』を軸に語られた独我論的見地からの世界と自己の関係の解決の先にある、「語りえぬもの」としてある「藝術」と、「他者との関係」をテーマにしようとしたのであろが、そういう意味で言えば、「素晴らしき日々」でせっかく「旋律と世界」で対比させていたのだし、「絵画」でなく「音楽」をテーマにした方がいいんじゃなかったんかなとも思う。さっさと続編を出してくれ。

 

 

第5位 この大空に、翼を広げて

f:id:mitchell_wspk:20201104160225p:plain

konosora.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 ソアリング部(グライダーを飛ばす部活)を舞台にした青春部活モノ。「羽々音 小鳥」ルートに”ドはまり”したのでこの順位。「羽々音 小鳥」ルートは、”本質”。このルートがなかったら、10以上は順位を落としている。
 「部活モノ」としては、ライバルの存在などはなく、「乗り越えなければならない障害」が、学校からの規制くらいしかなく、長いテキストの割には、努力や苦労の描写が足りないので、そういう熱血さは足りないかもしれない。主人公たちの目的が「部活動の復興」ではないので、切磋琢磨したり、方向性の違いで衝突したりといった展開はない。
 何度も言うように、このゲームの本質は「羽々音 小鳥」というキャラである。もともと歩けていたが、事故によって両足が動かなくなってしまったというキャラの「自分は他の人とは変わらないのに、他の人は特別扱いしてくる」という同情への葛藤は良く描けていたと思うし、そのせいで周りとの軋轢が生まれていしまっていたところに主人公が表れて、周りとも打ち解けていく展開も好き(先述の「遥かに仰ぎ、麗しの」の「風祭 みやび」ルートと同じ)。細やかな内面描写のおかげで、没入感は高く、非常に良かった。「小鳥」という名前も、暗示的で、「グライダーという危険なものに、車椅子である娘を乗せるわけにはいかない」というような「小鳥」の親の発言は、まさに「籠の中の鳥」を思わせる。それを振り切って「籠の中の鳥」は大空に飛び立つのだから、泣。”飛び方を思い出した小鳥”という比喩が、ラストの展開にまで生きている。声優もすごいはまり役だったと思う。
 「望月 天音」ルートは、このキャラの抱える問題について「もっと他にやりようがあったのではないのか」と思わせるものも多かったが、最後のシーンで大団円を迎えていたので、何も気にならなくなった。
 グライダーで飛んでいくときに流れるOP曲の「Precious Wing」は、非常に爽やかで、まさに、空へと上昇してく臨場感を演出するのに一役買っている。紺野アスタ(「羽々音 小鳥」「望月 天音」ルート担当)以外が書いたルートの内容は、プレイしなくてもいい。評判も悪い。

 

 

第4位 家族計画 ~絆箱~(家族計画 ~追憶~)

f:id:mitchell_wspk:20201111112725p:plain

www.do-game.co.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆

プレイ期間:1週間

 

 社会的に弱い立場にある、それぞれどこかに問題を抱えた登場人物たちが、疑似家族を形成し、互いの問題に向き合って、解決乃至は受け入れていくというストーリー。日常のコメディパートの掛け合いは軽妙で面白く観ることができる。
 初めに「末莉」ルートと「真純」ルートをプレイして「悪くはないけど、こんなものか」と思っていたけど、次に行った「準」ルートで涕。ラストの、視点入れ替わり独白パートがえげつなかった。「準」というキャラがどのような感情を内に秘め、どのような気持ちで登場人物と接していたのかが語られ、繊細な”ココロ”がひしひしと伝わってくるようであった。その後、「春花」ルート、「青葉」ルートと進めていった。「青葉」ルートにおいても、涕した。幾度と逆転する過去の真相に向き合って、閉ざしていた自分の心を開いて、恐れていた「家族」を受け入れていく様は非常に感動的であった。全体的に良くできていたと思う(ルート別好み:準>青葉>春花>末莉>真純)。
 雰囲気やキャラの感じは良し。音質は悪いように感じたが、比較的古いゲームということで許容できる。BGMの種類は少ないものの、よくできていて、感動できた。グラフィックについては、発売年を考慮しても、もう少し何とかならなかったのかと感じる。キャラデザは悪くないと思うが、CGの数は少ないし、その中で描かれるヒロインは福本作品みたいに顎がとがっている(福本作品に女性キャラは出てこないが)。立ち絵も雑というか、下手な感じがする。同人ゲームじゃなくて商業なのだからもう少しできたんじゃないのか。また、プレイを進めていくなかで選択肢が70回以上あって、どの選択肢がどのように分岐に関わってくるのかが分かりにくく(今もよくわかっていない)、大変だった。見やすい攻略サイトも少ないし。

 

 

第3位 最果てのイマ

f:id:mitchell_wspk:20201104164824p:plain

www.xuse.co.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1か月

 

 ループもの。頭が狂う。正直ちゃんと理解し得ているのか不安なところ。情報量が多く、所々に散りばめられた伏線が、終盤でしっかりと機能していて舌を巻く。自分には、この作品を語れません......。初めは、ヒロインの欠陥が分かりやすく描かれているのもあって、その欠点の克服と人間関係についてがテーマ(田中ロミオによくある)なのかなとか思ってたけど少し違った。後半明かされていく話の真相と、世界観の展開は全く想像もつかない。文章中に散りばめられた違和感も、初見では読みとばしてしまうものなのだが、それが世界観の構築に関わってくる展開に脱帽。

 

 

第2位 素晴らしき日々 ~不連続存在~

f:id:mitchell_wspk:20201104170420p:plain

www.keroq.co.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:3日

 

 ”ガチはまり”したので、3日で終わらせられた。1位とどちらにしようか大分悩んだ。多重人格、死生観、電波、狂気などをテーマとして、ドロドロした内容。また、その先にある”救い”をどうやってつかみ取るのか、どうやって生きていくのかということが描かれている。エロシーンもライターの趣味全開。
 何が起きているのか全く分からず、狂気を見せつけられている感じがするが、複数人の登場人物の視点から何が起きているのかが徐々に徐々に明らかになっていく感じが非常に面白い。キャラクターの行動1つに意味があり、構成が緻密に練られている。最初プレイしたとき、「鏡・司」って名前とキャラのビジュアル見て、「『らき☆すた』じゃん」って思ってたけど、それも伏線だった。はえ~。
 キャラクターの心理描写は個性的で、先の気になる展開に、読んでいて時間を忘れてしまう(実際、気づいたら朝だった)。いじめの描写に妙な臨場感があって、病んだ。true以外のルートも、しっかりと意図を持って作られていて、救いを作りつつ、根幹となっている思想を邪魔しない。いままでの作品でさんざん嫌っていた枕・ケロQの引用は、この物語においては効果的にされていて、物語の展開や理解に深みを与えている。
 「夜の向日葵」や「夏の大三角」など、BGMも優れたものが多く、狂気的な内容の中に、清廉さを与えるし、「黒い翼の舞」は切迫感を与えるのにとても合っている。OP曲の「空気力学少女と少年の詩」は、とても有名だが、作風に少し合っていないんじゃないかなと思ったりする。哲学的な要素が云々とよく言われる作品であるが、そんなの知らなくても楽しめる作品だと思う。CGはまた独特なデザインで、キレイなものが多い。
 ラストの展開は3パターンに分かれていて、賛否両論あるが、それぞれの分岐においてライターが表現したいことが伝わってきたので、いいと思う。

 

 

第1位 WHITE ALBUM2

f:id:mitchell_wspk:20201128212613p:plain

leaf.aquaplus.jp

 

ストーリー:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キャラ:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

BGM:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

グラフィック:☆☆☆☆☆☆

プレイ期間:1週間

 

 三角関係を描いた超有名作品。いつかプレイしようと温めてようやく手を付けられた。今年最後にプレイした作品。今年の最後にと決めていた作品。買ってから、可能な限りの時間をこの作品に費やしたのだが、特典やサイドストーリーなども含めて結構なボリュームで、なかなか終わらなかった。しかし、長いからと言って諄い印象は全くなく、膨大なシナリオの中に織り込まれた内面描写や作品の雰囲気にかなり没入できた。こんな作品があってよいものかと、慄いた。嗚咽と震えが止まらなかった。昂りすぎて台パンも何回かしてしまった。”introduction chapter ”の中盤以降は冗談抜きで、鳥肌か涕か手の震えのどれか1つはプレイ中に体に現れていた。
  各キャラクターの心情の描写がきめ細やかになされていて、動悸が激しくなってしまう。セリフの端々に少しずつ現れる伏線と、本音と建前の入り混じる複雑なココロの叫びに責め立てられるようで、だれを咎めたらいいのか、なにが正解だったのかと、読者を答えの出せない問題で悩ませ、内面を感情で破壊する。壊れてほしくない関係、続けていたい関係、これからも楽しく変わらない日常を過ごしていきたいという些細な、叶わない望み、「友情」そして「愛情」の軋轢、そういったものが犇めいてこちらにぶつかってくる。そんな激情が滾々と注ぎ込まれてきて、耐えられない。他のルートでその気持ちを味わった分、雪菜trueENDで差し出された明るさと救いにもまた逆の意味で抉られるようだった。「小木曽 雪菜」と「冬馬 かずさ」が出てくるたびに、吐きそうになった。嗚呼。濡れ場も、おまけ程度についているものとは違い、物語の進行するうえでしっかりと役割を果たし、非常に哀愁に満ちていて、締め付けられる。泣いた。親友枠やサブヒロインもまたいい味出してる。自分の考えをそれぞれ持ちながら、皆優しく、理解者としての立ち位置に好感を与えさせる。滲みる。キャラが全員黒髪か茶髪なのも、この作品に非常にマッチしていると感じる。派手な髪色でないおかげで内面の描写が外見に邪魔されず、それを上手く引き立たせる一因としてしっかり機能している。ただ、CGが安定しない感じはあった。そこだけ。
 情緒感も素晴らしい。冬、冬、冬。この季節に随伴するあらゆるイメージが、楽曲、会話のテンポ感、明暗、演出などなどから混然一体となってこちらに侵入してくる。
 寂寥感に身が凍てつくような作品だった。錯綜する心情の描き出しという一点において、ノベルゲーという媒体でこれを超えるのは不可能なのではないか。

 

 

結び

 長々と駄文を書いていて、結構大変だった。こうしてランク付けしてはみたものの、自分の感情を言語化できなくなるから、普段からちゃんと感想とか書いてないとだめだと分かった。また、これを書くことを決めたのが10月末くらいからだったので忘れてる部分の多い作品も多く、どういうところを評価するのか具体的に言語化するのに手間取った。プレイしてから時間がたってしまい、どこがどのように良かったのか細かい場面まで覚えきれていないものも多い。これからは、どういうところに感心したか、どういうところにケチをつけたいかなどのメモを取りながら作品を進めていくようにしたいと思う。この25本の内15本くらいは9月以降にプレイしていて、最近どうも熱中しすぎていたように思われるので、せめて年明けまでは新しく始めないようにして、いままでノベルゲーに充てていた時間を他に充てたい。